URL : https://www.imdb.com/title/tt6751668/
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目次(クリックでジャンプ)
あらすじ
格差社会が進め韓国で、貧困層の象徴”半地下”に住むキム家族が、高台の豪邸に住むパク家族にパラサイトしていく。キム家族の息子キム・ジウが家庭教師として、パク家族への寄生することから物語は進展していく。
貧困層はカビ臭い地下に住まざるおえない
格差社会が形として人々の姿や暮らしぶりから見て取れる。本作品でも、いたるところに記号として潜んでいた。「地下に住む人」、「カビ臭さをまとった体」、「内職する家族」、「無計画な姿勢」、どれも貧困層が持っている、持たざる者の象徴なのだ。カビ臭い匂いとともに、主人公キム一家は貧困の香りがまとわりいている。
キム一家は貧困を象徴する半地下に住む。住環境は劣悪そのもの。地下にあるためカビ臭く、下水の通りも悪い。下水の通りが悪いから、トイレが部屋で一番高いところに設置されている。酔っ払いのションベンだって、半地下からなら丸見え。
地下に部屋があるのは北朝鮮と深い関係がある。韓国は北朝鮮と戦争の危険があり、地下にシェルターをもっている家庭が多いため。それを現在は賃貸しているのである。
キム家族は貧困から脱するため、格差社会の上層に属するIT社長の家族に寄生していく。
「高台にある家」は富裕層のシンボル
格差社会でも裕福なパク一家は、高台の豪邸に住む。一家の大黒柱の夫はIT会社の社長。妻は美人で歯並びよく、息子と娘もいる。絵に描いたような幸せな家族だ。
パク家族の家は高台あるから洪水の心配もない。高台に住むことは裕福さのシンボルだ。インテリアは隅々まで管理が行き届いており、スタジオで撮られた家族写真も飾ってある、ミニマリズムの趣きがある家だ。その簡素なデザインから、空虚さもどこからか漂う。どことなく寂しさがある。競争社会で疲弊しているパク家族を反映しているかのよう。
家族間のほつれを狙い、パラサイトは助長していく
パク家族の失った絆を埋めるように、キム家族はぎゅっと団結してパラサイトとして侵食していく。
そのチャンスが巡ってきたのは、キム一家息子キム・ギウ。学歴を偽り家庭教師として、パク家族に忍び込む。
キム・ギウを皮切りに、キム一家はパラサイトに手を染めていく。貧困層から脱するチャンスと、その顔は妙に澄んでいる。無計画に暮らしていたときとは違い、イキイキと楽しむかのように寄生する。格差社会を憂いていたときとは対照的に、パラサイトを楽しんでいるかのようだ。
韓国の格差の現状
地下は日光が当たらず湿気がこもりやすい。その住み難さから家賃は抑えられている。
動画によると、韓国に住む若者の22.6%はこうした低質な環境に身を置かざるおえないそうだ。また半地下の家は日光は差し込みはするが、窓から部屋の中が筒抜けになってしまうという。パライバシーはないように見える。劇中でも立ちションベンと出くわしたことを思い出した。
19〜34歳までの約半数にとって、住環境の問題は結婚の大きな障壁になっているそうだ。
格差は社会を不健全化していく
格差が固定化して、裕福な家族はさらに裕福になり、貧しい家庭はますます苦しくなっていく。スタートラインが異なる上に不公平が是正されず、親から子へ連鎖することは社会の不健全さを助長する。
そんな不健全な社会のなかで、無計画にパラサイトしていくキム家族の姿にも納得がいく。不公平が蔓延っている社会なら人を偽ることは、なんてことないとでも言っているかのようだった。
キム・ジウが薄ら笑いを浮かべながらパラサイトしていくさまは、格差社会への怒りをも感じた。「俺たちは自堕落なんじゃない。運が悪いだけだ。運良く上位層にいる人たちを騙すのは、嘘じゃない、社会を是正するチャンスなんだ」と言わんばかりに。
「万引き家族」から見える、日本の格差
日本では近年の貧困がテーマ作品として、「万引き家族」が挙げられる。「パラサイト」では寄生していく中で家族の絆が深くなっていくのと違い、「万引き家族」では格差・貧困によって、家族の関係は希薄化していることを描いていた。
劇中で貧困にあえぐ母は、子供を虐待し、家族の絆は冷え切っていた。その繋がりの弱さから、子は血の繋がりがない疑似家族を求めていく。
韓国と日本の共通点は、血の繋がり有無はあれど、貧困家庭の最後のよりどころは親密な関係なのかもしれない。貧困が進展すればするほど、「家族」と「疑似家族」の関係性はより深く発展していったからだ。法遵守よりも、その関係性を最も尊重し高度化していくことも似ている。
日本でも格差は巷に溢れている。「引きこもり」、「ブラック企業」の報道の数が増えてきた。引きこもりは、社会救済が貧困層を救済していないことを表している。「ブラック企業」は企業という持つ者が、労働者という持たざるものを虐げている現象である。